栃木県弁護士会からのお知らせ

憲法記念日を迎えるにあたっての会長声明

 本日、日本国憲法の施行から70回目の憲法記念日を迎えた。
 憲法は、前文に平和的生存権を定め、第9条に武力による威嚇・武力の行使の放棄、戦力の不保持及び交戦権の否認を規定し、恒久平和主義を明言している。
 日本は、このような憲法の平和主義のもとで、戦後70年以上の間、国際紛争における実力の行使をしたことはなく、平和国家としての道を歩み、国際的な信頼を得てきた。
 ところが、昨年3月29日に施行された、いわゆる安全保障関連法は、憲法改正手続きを経ることなく、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認するものであって、憲法前文及び同第9条に定める恒久平和主義に反するものである。
 また、憲法に違反する法律を制定することは、憲法を最高法規として、公務員に憲法尊重擁護義務を課し、政府を憲法の制約の下におくことにより、個人の尊重と人権保障を図るという、立憲主義にも違反する。
 さらに、政府は、今回の安全保障関連法の改正後、南スーダンにおける自衛隊の任務について、駆け付け警護と宿営地の共同防衛という任務を追加した。
 先般、政府は南スーダンからの自衛隊の撤収を決定したが、今後もこのように、自衛隊員が戦闘に参加せざるを得ない状況に直面することは明らかであって、憲法において恒久平和主義を掲げる日本の活動として相応しいものとはいえない。
 当会は、基本的人権の擁護を使命とする弁護士により構成される弁護士会として、恒久平和主義や立憲主義といった憲法の基本原理を破壊する行為に対し、強く反対する。
 当会は、これまで、集団的自衛権行使の容認については、閣議決定がされる前から幾度となく、これに反対する会長声明を発出し、また総会決議も行った。
 今後も、政府の活動を注視し、断固たる決意の下、恒久平和主義や立憲主義といった憲法の基本原理を貫くための行動を惜しまない。
 70回目という節目の憲法記念日にあたり、先人たちの努力や願いに思いを致すとともに、恒久平和主義や立憲主義の意義を改めて確認し、これら基本的かつ重要な原理・理念を堅持すべく、引き続き力を尽くしていく所存であることをここに表明する。

2017年(平成29年)5月3日
栃木県弁護士会
会長 近藤 峰明