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死刑執行に強く抗議する会長声明
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1 2018年7月26日,東京拘置所において3名,名古屋拘置所において2名及び仙台拘置所において1名の合計6名に対し,死刑が執行された。同月6日の7名に対する死刑執行からわずか20日後になされたものである。
2 死刑を執行された者の中には再審請求中の者もいた。死刑が確定した者が後に再審請求したことによって,再審無罪となったケースは1980年代に4件ある。近時には袴田巌氏の事件において,静岡地方裁判所が再審開始の決定をしており,その後,東京高等裁判所において再審開始決定が取り消されたものの,弁護人側の特別抗告により最高裁判所における審理が続くことになる。我々は,これらの事件から,誤判・冤罪の危険性が現実的なものであることを痛感した。誤判・冤罪の防止という観点からは,受刑者が再審請求中であることは特に重視すべきであり,従来は再審請求中の死刑確定者については,死刑執行が回避される傾向があったが,これを覆す昨今の死刑執行は極めて遺憾である。
3 死刑廃止が国際的な潮流であること,死刑制度に関する情報の開示が不完全であり,その存廃についての十分な国民的議論が必要不可欠であることから,当会では,2016年4月21日及び同年11月24日に「死刑執行に抗議する会長声明」を,2017年7月27日,2018年1月26日及び同年7月19日に「死刑執行に強く抗議する会長声明」を発出した。また,2016年10月7日には,日本弁護士連合会が,福井県で行われた第59回人権擁護大会において,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,死刑を廃止するに際して死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること,などを政府に求めた。そして,2016年12月19日,国連総会においては,全ての死刑存置国に対し,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が117カ国の賛成多数で採択された。それにもかかわらず,政府は国際的な趨勢を無視し続け,死刑制度に関する情報公開や,国民的議論を巻き起こすような取組を一切行っていない。
しかも,前回の7月6日に,7名という多数の者に対する死刑執行について当会を含む各所から抗議の声明が発せられたにも関わらず,前回の執行からわずか20日後に6名という多数の執行がなされたものであり,このような状況下で死刑執行に及んだことは遺憾としかいいようがない。
4 以上のとおり,当会は今回の死刑執行に強く抗議する。
2018年(平成30年)8月30日
栃木県弁護士会
会 長 増子孝徳