栃木県弁護士会からのお知らせ

菅家利和氏(足利事件)の釈放にあたっての会長談話

2009年(平成21年)6月9日
栃木県弁護士会 
会長 田島二三夫

 
 本年6月4日、足利事件再審請求人の菅家利和氏がついに釈放され、実に17年半ぶりに自由の身となった。
 東京高等検察庁は、本件DNA再鑑定の鑑定結果が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する蓋然性が高いので、本件再審の開始については、裁判所において、しかるべく決定されたい」とする意見書を東京高等裁判所に提出し、宇都宮地方検察庁の検察官が、無期懲役刑で千葉刑務所に服役中であった菅家氏の刑の執行を停止した。
 検察官が再審開始を容認し、菅家氏の身柄を解放したのは確かに異例のことではあるものの、本件DNA再鑑定の鑑定結果に照らせば、むしろ当然ともいえる。
 今後、東京高等裁判所が再審開始決定を行うべきであることは勿論であるが、その過程においては、菅家氏の無実という結論のみならず、当時の捜査手法やDNA鑑定の信頼性、なぜ犯人ではない菅家氏が虚偽の自白をするに至ったのか等、本件事件に関わるあらゆる問題点について、改めて深く検証する必要があるというべきである。
 また、本件は、冤罪者であっても容易に自白に至るという現実を明白にしたものであり、取調べの全面可視化の要請は一層強まったというべきである。
  当会は、上記問題点の全てが検証され、菅家氏が完全無罪判決を勝ち取るまで、支援を尽くすことをここに表明するとともに、一日も早い取調の全面可視化の実現を求めていく。