栃木県弁護士会からのお知らせ

憲法記念日を迎えるにあたっての会長声明

 本日、日本国憲法の施行から73年目の憲法記念日を迎えた。
 日本国憲法は、立憲主義を基本理念とし、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義を基本原理とする。日本国憲法は、この73年間に完全に国民に定着したものとなっている。
 ところで、新型コロナウイルスの感染拡大により、我々は、これまで経験したことがない危難に直面している。経済の悪化により、事業者は経営が悪化して事業の継続が困難となり、労働者は休職や解雇を余儀なくされている。また、新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者に対する誹謗中傷も発生している。これらはそれぞれ国民の基本的な権利に関わる問題である。当会は、国民の基本的な権利が守られるよう、解決に向けて取り組む所存である。
 一方、かかる状況下においても、日本国憲法における基本理念や基本原理を蔑ろにすることは許されない。本年4月7日、日本国憲法の基本理念等と矛盾をもたらすおそれのある緊急事態条項の創設について、安倍晋三首相が議論を促したとのことである。さらに、近年、憲法改正を経ず法改正のみでの集団的自衛権の行使容認、法的根拠が薄弱な自衛隊艦船の中東派遣、法治主義や三権分立等に反する東京高等検察庁検事長の定年延長等、憲法の基本理念等に抵触する事態が続発している。当会はこれまでも憲法の基本理念等が蔑ろにされる動きに対して適宜行動をとってきたが、今後も憲法の基本理念等を守るための行動を惜しまない。
 当会は基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士によって構成されている。未曽有の国難ともいうべき現在の状況においても、当会は、日本国憲法の基本理念や基本原理が堅持され、国民の基本的人権が尊重されるよう引き続き努力していくことをここに表明する。

2020(令和2)年5月3日
栃木県弁護士会 会長 澤田 雄二