栃木県弁護士会からのお知らせ

足利事件の再審公判開始に当たっての会長談話

 本日、宇都宮地方裁判所で足利事件の菅家利和さんに対する再審事件の第一回公判が開始された。菅家さんが無罪であることは既に明らかになっているが、誤判を生じた原因やその責任の所在などはいまだ十分に解明されたものとはいえない。
 菅家さんの無実を根本から明らかにするために、また、これからこのような冤罪事件を二度と起こさないためにも、菅家さんに虚偽の自白を強いた取調べの経緯や科学警察研究所担当官が誤ったDNA鑑定を行った経過などを明らかにしなければならない。そのためには、今日から始まる宇都宮地方裁判所における再審公判では、それら誤判の要因について審理を尽くし、本件の誤判の原因が徹底的に究明されなければならない。
 本日開始された再審公判は、誤判の原因を明らかにする必要と責務の下になされるべきものである。当会は、宇都宮地方裁判所に対し、再審公判において充分な審理を行って誤判の原因について究明し、責任の所在を明らかにすることを求める。
 当会は、本件を刑事裁判冤罪事件の教訓として強く銘記し、再び誤判が生じることがないよう弁護人としての使命を全うし、適正な裁判の実現に向けて努力していくことを改めて表明する。
 
  2009年(平成21年)10月21日
栃木県弁護士会
会長 田島二三夫