栃木県弁護士会からのお知らせ

秋田弁護士会所属弁護士刺殺事件に関する会長声明

 本年11月4日早朝、秋田弁護士会所属の津谷裕貴弁護士が、自宅に不法侵入した男から刃物で刺され、搬入先の病院において死亡するという痛ましい事件が発生した。110番要請により現場に警察官が来場したものの、その目の前で、殺傷事件が発生したものである。
 報道によれば、犯人は津谷弁護士の受任したことのある離婚事件の相手方であり、逆恨みにより、津谷弁護士の殺害を企てたとのことである。
 
 紛争解決の過程において、暴力という犯罪行為をもって自己の主張を実現しようとすることは、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命としている弁護士の業務に対する重大な挑戦であり、断じて許されるものではない。
 
 津谷弁護士は、長年消費者問題を中心に人権救済に携わってきたものであり、秋田弁護士会会長、日本弁護士連合会理事、東北弁護士会連合会副会長などを歴任し、現在は日本弁護士連合会消費者委員会の委員長として文字通り消費者問題の最先頭に立って活躍していたものである。志半ばにして凶刃に倒れた津谷弁護士の心中を察するに余りあるものがある。
 
 当会は、津谷裕貴弁護士のご冥福を祈り、ご遺族に対して心から哀悼の意を表するとともに、暴力的な手段による弁護士活動への妨害行為に決して怯むことなく、弁護士の使命を貫徹していく決意であることを表明する。
 
  2010年(平成22年)11月9日
栃木県弁護士会
 会長 伊 澤 正 之