栃木県弁護士会からのお知らせ

「袴田事件」再審開始決定に関する会長声明

 2023(令和5)年3月13日、東京高等裁判所は、袴田事件第二次再審請求事件差戻抗告審において、2014(平成26)年3月27日に静岡地方裁判所においてなされた袴田巌さんに対する再審開始決定を維持する判断を下し、かかる決定は確定した。
 袴田事件は、1966(昭和41)年6月30日未明、味噌製造会社専務宅で、一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件である。同社従業員の袴田さんが同年8月18日に逮捕され、1968(昭和43)年9月に静岡地裁で死刑判決が出され、その後この判決は、1980(昭和55)年11月に最高裁判所が上告を棄却し、確定した。しかし、袴田さんは、第1回公判から現在に至るまで犯人性自体を争っている。
 本決定は、第二次再審請求の差戻抗告審における決定である。同請求は、2014(平成26)年に上記の静岡地裁において再審開始決定がなされたものの、2018(平成30)年6月11日に東京高裁において、再審開始決定が取り消され、2020(令和2)年12月22日に最高裁が、東京高裁の決定を取り消し、審理を東京高裁に差し戻した。
 最高裁は、袴田さんの犯人性を根拠づけるとされた5点の衣類の色に関する味噌漬け実験報告書や専門家意見書の信用性を否定した差戻し前の東京高裁の判断について、審理不尽があるとして差戻決定をした。本決定においては、再審請求弁護団提出の同証拠を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当するとし、再審開始決定を維持するという判断に至った。
 袴田さんは既に87歳を迎え、47年間もの長期間の身体拘束を経て釈放された。また、長年にわたり袴田さんを支援してきた姉のひで子さんも既に90歳を迎えている。袴田さんに対しては、一刻も早く無罪判決が下され、えん罪被害の救済がなされなければならない。
 当会は、検察官に対し、公益の代表者として、本決定内容を謙虚に受け止め、再審公判手続においても、袴田さんが速やかに無罪判決を得られるよう、本決定内容を尊重した公判活動を求める。
 また、当会は、再審請求事件における証拠開示の制度化や再審開始決定に対する検察官の不服申立て禁止をはじめとする再審法改正など、えん罪を救済するための制度改革の実現を目指して、本声明を発する。

2023(令和5)年3月24日
栃木県弁護士会
会長 安田 真道