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宇都宮少年鑑別所の合築にあたり少年鑑別所としての役割を維持することを求める要望書
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第1 要望の趣旨
宇都宮少年鑑別所が宇都宮拘置支所敷地に移転され、両施設の建物が合築され、業務の一部が集約されるにあたり、少年鑑別所としての役割を維持するため、観護処遇のための環境と設備を、さらに充実強化することを要望する。
第2 要望の理由
1 宇都宮少年鑑別所の概要と少年鑑別所の設置目的
宇都宮少年鑑別所は、1983(昭和58)年3月、庁舎敷地を4615�屐�建物面積の庁舎建面積を925�屐�延べ面積を1754�屬箸垢訖訓長�事が終了し、同年7月、落成式が行われた。少年鑑別所の事務は、�� 家庭裁判所等の求めに応じ、鑑別を行うこと、�� 観護の措置の決定が執られて収容している者等に対して、観護処遇を行うこと、�� 地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助と定められ(少年鑑別所法(以下「法」という。)3条)、少年鑑別所は、これらを行うことを目的とする法務省所管の施設である。
2 観護処遇
前記の観護処遇とは、少年鑑別所に収容している者に対する取扱いのすべてをいい、情操の保護に配慮するとともに、特性に応じた適切な働き掛けを行うことによって、その健全な育成に努めるものである。この点は、未決の在所者であっても同じである。よって、証拠の隠滅や逃亡の防止のために身体を拘束する拘置所などの刑事収容施設とは、被収容者に対する取り扱いが大きく異なる。
少年鑑別所長は、観護処遇等の少年鑑別所の事務を適切に実施するため必要があると認めるときは、家庭裁判所、少年院、地方更生保護委員会又は保護観察所その他の関係行政機関、学校、病院、児童の福祉に関する機関、民間の篤志家その他の者に対し、協力を求めるものとするとされ(法14条1項)、また、少年鑑別所長は、在所者の情操を豊かにし、その者が健全な社会生活を営むために必要な知識及び能力を向上させることができるよう、在所者に対し、その自主性を尊重しつつ、学習、文化活動その他の活動の機会を与えるとともに、その活動の実施に関し必要な助言及び援助を行うものとされている(法29条1項)。
少年鑑別所は、在所者が規則正しい生活を送り、在所者に対して基本的な生活習慣等に関する助言指導を行ったり、関係機関等と協力したりして、情操の涵養や健全な社会生活への適応を支援する取組が行うなど、在所者の健全な育成のための支援をするのであるから、刑事収容施設とは異なる多様な援助が求められる。
3 観護処遇のための環境と設備について
少年鑑別所法の目的やその他の規定に沿った観護処遇を実現するのに必要な人的・物的な環境の整備及び設備として、以下のものが必要である。
(1)在所者の人権尊重
在所者の人権を尊重しつつ、適切な観護処遇を行うとする法の目的に照らせば、少年鑑別所における収容が、在所者の健康を害し、または在所者に苦痛を与えるものとならないように配慮されなければならない。
したがって、人権に配慮した在所者の衣食住環境の整備に努めるべきである。
具体的には、�/�事については、副食を含む全ての食事について、温食の提供が可能となるよう、炊事室を設置・稼働させるための設備・人員を確保すること、��入所時検査や性別による在所者の分離においては、職員において性的マイノリティに配慮した対応を行い、入浴時や居室のトイレ使用時に極力プライバシーが確保できるよう室内の構造や設備等を工夫すること、�0緡転紊料蔀屬�必要な場合には速やかにそれを行うべく、医務室に医師を常駐させること、�ち患鐚爾縫┘▲灰鹽�の細かな室温調節が可能な冷暖房を完備することが必要である。
(2)在所者の健康の維持・増進に対する取組の継続、推進
健康を維持・増進し、健全な心身の成長を図るためには、運動が不可欠であり、法31条も、できる限り戸外で適切な運動を行う機会を与えるものとしているところ、屋外に限らず屋内についても運動施設・設備を充実させることが求められる。宇都宮少年鑑別所では、同所南側にある運動場を利用し、運動指導の1つとしてバスケットボール等を取り入れたりしてきた。教室には、卓球台も置かれたりもして、少年が運動できる環境が整えられている。
新施設においても、従前のものと同規模かつ少年鑑別所在所者専用の屋外運動場を設置するとともに、雨天や猛暑が続くようなときにおいても、屋内でフットサルや少人数制バスケなど多様なスポーツが楽しめるように、十分な広さの運動用のスペースとスポーツ設備を屋内にも設置すべきである。
(3)社会生活への適応を支援する取組の継続、推進
宇都宮少年鑑別所では、これまでも、在所者向けに絵手紙指導、書道指導、就労支援講話、クリスマスの飾りつけなどの活動の機会を与えてきたのであり、新施設においても、こうした在所者の健全な社会生活への適応を支援する取組をいっそう推進すべく、教室となる部屋数・広さの確保と講話や指導内容に対応できる機材・設備・書籍等をより充実させることを望む。
(4)人員体制
在所者の観護処遇は、懇切にして誠意のある態度をもって接することにより在所者の情操の保護に配慮するとともに、その者の特性に応じた適切な働きかけを行うことによりその健全な育成に努めるものとされている(法20条1項)。
したがって、観護処遇に対応する人員の不足により、観護処遇事務への対応が疎かとなることがないよう、観護処遇事務に対応する職員を増員するのが望ましく、少なくとも、従前よりも削減されることがないよう求める。
(5)動線への配慮
少年鑑別所と拘置所とでは、施設の設置目的や機能、被収容者の取り扱いが大きく異なるものであるから、合築する場合でも、被収容者の動線はもちろんのこと、面会者の動線も施設ごとに完全に分けるべきである。
したがって、少年鑑別所と拘置支所それぞれに、面会者用の玄関入口を設置すべきである。
4 結語
よって、当会は、宇都宮少年鑑別所と宇都宮拘置支所の建物が集約されるにあたり、少年鑑別所としての役割を維持するため、上記のとおり、観護処遇に関する環境を整備し、設備を設けることを要望する。
なお、合築に関し、宇都宮少年鑑別所視察委員会からの要望や意見が出ている場合には、その要望・意見等を尊重されたい。また、在所者の人権を尊重すべきことは刑事施設においても同様であることを付言する。
2025(令和7)年1月6日栃木県弁護士会
会長 石 井 信 行



