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憲法記念日を迎えるにあたっての会長声明
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本年5月3日、私たちは日本国憲法の施行から78年目の憲法記念日を迎えます。
日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義を基本的な理念としています。これは、第二次世界大戦のもと、国内外を問わず、多くの尊い人命が犠牲になったという反省に基づくものです。戦争は人権侵害の最たるものであり、基本的人権が尊重されるためには、戦争のない世界が構築されなければなりません。
しかし、世界に目を向けると、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、2023年10月に始まったイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻など、未だ世界各地に軍事紛争が存在しており、多くの尊い人命が犠牲になっています。
また、我が国では、2015年の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定以降、2022年には安保三文書を閣議決定して反撃能力の保有の容認及び防衛費の大幅増大を、2023年及び2024年の防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正による殺傷能力を有するものを含めた防衛装備の海外移転についての拡大を決めるなど、武力によらない世界平和を目指す日本国憲法の基本理念とは程遠い政策が重ねられています。
ところで、昨年、核兵器のない世界を実現するための長年の活動が評価され、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞しました。
今年は、戦後80年の節目を迎える年です。現在の世界情勢の中で、唯一の被爆国である我が国が取るべき態度は、日本国憲法の基本理念のもと、日本被団協の活動のように、武力ではなく対話による世界平和の構築を目指すというものであるはずです。
基本的人権の尊重と社会正義の実現を使命とする弁護士から構成される当会は、日本国憲法の基本理念の実現を目指し、今後も真摯に活動を続けていく所存です。
2025年(令和7年)4月30日
栃木県弁護士会
会長 杉田 明子