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米国によるICC関係者らへの制裁に抗議する会長声明
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国際刑事裁判所(International Criminal Court。以下「ICC」という)は「国際刑事裁判所に関するローマ規程」(以下「ローマ規程」という)に基づき設立されたジェノサイド犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪といった国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪を行った個人の刑事責任を問うことを任務とする独立かつ常設の国際刑事司法機関である。ICCは、これらの重大犯罪が処罰されずに放置される「不処罰の文化」を終わらせるという目的のもと、法と証拠に基づく独立した司法判断を通じて、国際社会の平和と安全並びに人間の尊厳を守る、いわば「法の支配の最後の砦」というべき役割を担っている。そして、この重大な使命を果たすためには、裁判官及び職員が政治的圧力から完全に独立して職務を遂行できる環境が不可欠である。
しかし、本年8月18日、米国政府は、ICCの所長である赤根智子氏らを制裁の対象とした。米国のルビオ国務長官は「ICCの管轄権に同意していない政府の職員に対する捜査、逮捕、拘束、起訴を進めようとするICCの取り組みに直接関与してきた」ことを制裁の理由とするが、これはイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状発付を念頭に置いたものと見られる。この制裁により、赤根智子氏らには、米国内の資産の凍結や米国内への入国の禁止、さらには米国の金融システムを利用できないなど日常生活にまで重大な支障が生じる。
ネタニヤフ首相らに対する逮捕状の発付はローマ規程に基づいて決定された司法判断である。それにもかかわらず自国の意にそぐわない司法判断がなされたことを理由に個々の司法関係者に制裁を科すということは、当該司法関係者に対する不利益のみならず、他の司法関係者に対する萎縮効果をもたらすものである。これは司法の独立を脅かすものであり、さらには「法の支配」を否定するものであり、断じて容認できない。
また、世界中で武力衝突が相次ぐ現在、「法の支配」の貫徹を担うICCの弱体化は「力の支配」を許すことにつながり、ひいては世界各地で甚大な人権侵害をもたらすおそれがある。
当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士で構成される団体として、「法の支配」の貫徹及び司法の独立の観点から、今回の米国による赤根智子氏らICC関係者に対する制裁に対して強く抗議し、同人らに対する制裁措置を直ちに撤回することを求めるとともに、ICCの存続及び独立の支持を表明する。
2026年(令和8年)9月25日
栃木県弁護士会
会長 五味淵 郁章



